荒木飛呂彦/鬼窪浩久「変人偏屈列伝」

荒木飛呂彦/鬼窪浩久「変人偏屈列伝」(集英社)を読みました。

何故か奇人変人は多くの人を魅了するところがあります。
窮屈な日常に縛られている現代人には、彼らの生き方に羨望や憧憬があるのかもしれません。
荒木氏の代表作「ジョジョの奇妙な冒険」第1巻のセリフではありませんが、「おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!」ということでしょうか。
この列伝に登場する変人たちは、生涯自らの信念を貫き通しただけではなく、何らかの形で勝利している人々です。

時々思い出したように雑誌に掲載された短編を集めたもので、基本的に荒木氏は原作(二作で作画もしている)、作画は彼の元アシスタント鬼窪氏が担当。
しかしセリフ回しやコマ割りや擬音が典型的な荒木節のため、鬼窪氏はただ絵だけ描かされていたのかもしれません。

具体的に登場する人々について触れてみましょう。

激しすぎる性格のため嫌われ続けながら、生涯打率記録三割六分七厘、他にも幾多の記録を残した名野球選手タイ・カッブ。
『オリバー君招聘』を初めとした人騒がせなイベントを次々と立ち上げては、世間を手玉に取り続けた異能の興行師、康芳夫。
腸チフス菌に感染しながらも手術を拒否、被害者を続出させつつ転々と雇い主を変えながら賄い婦を続けたメアリー・マロン。
生涯邸宅を建て増しし続け、82歳で亡くなった時には部屋が160にもなっていた富豪の未亡人、サラ・パーディ・ウィンチェスター。
原因不明の理由で数十年にわたって、死ぬまで引きこもり続けたコリヤー兄弟。
そしてご存知、エジソンを最も恐れさせた天才マッドサイエンティスト、ニコラ・テスラ。

継続は力なり……ですかね。
ニコラ・テスラを除くと、彼らの生涯は世の中に何の利益をもたらしてはいませんが、不思議にも偉人のような気がしてきます(笑)。

この短編集を読むとそこらで耳にする「自分らしさ」だの「人並み」などという言葉は軽く吹っ飛んでしまいます。
そして何故かやる気と希望が湧いてくる(笑)。

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この記事へのコメント

2006年05月02日 20:55
はじめまして。この本面白いですよね。ジョジョの大ファンなので購入しましたがなかなかに当たりだと思います。
>そして何故かやる気と希望が湧いてくる(笑)。
ほんとその通りだと思います(笑)
読者A
2006年05月03日 14:23
シンさんこんにちは。
「ジョジョ」の魅力の一つは敵も味方も目的やポリシーをしっかりと持っているところ。
この作品に出てくる人たちはリアルに存在したというのが凄いと思います。
2006年05月03日 15:37
こんにちは。ジョジョの敵味方に通じるこだりはいいですよね。人間賛歌を歌うだけあって作者のこだわりを感じます。ちなみに本日はジョジョの続編の「スティール・ボール・ラン」の新刊を購入してきました。
そうそうリアルに存在したってのが凄いんです。以前TVでウィンチェスターの家を放送してたんですがほんとにあんな家があるんですよね。漫画とはまた違った凄みを感じたものです。

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